四時歩武和讃(しじほぶわさん)

〜立ち直りから精神復興へ。一警備員の手記と詩篇~

≪見越入道 ⑥≫

オラトリオ見越入道
刻露清秀

〈2〉(続き)

涼を求めて洗い場に立ち
汗ばむ岩の背中を流す
白法白衣の源泉の宿、
懸針垂露の旗奉行。


五段飾りのいちばん下座で
かまり立ちを覚えた日には、
遡上の跡を氷に鏤み
滝口めがけてピックを振るう。


硯の上で磁石を磨り、蝋石を磨り、氷菓を磨り、
かくて頂稜直下にスラブが創成され、
滝壺には鍵盤砕きの濁流が躍る。


いずれ劣らぬ みずちのしわざ
流通三態、歳時記のよう。
水量翳り、収斂の時至るとも、
とどろく口上、錦繍と斧劈の尽期に浮かぶ。


自注 : 鏤み=きざみ、流通=るずう


(続きは次回)


慌ただしい年の瀬です。交通誘導の資格者として大通りで搬入搬出に携わる日々もちょうど半年を迎えました。沈黙と焦燥と対人不安で悶々とくすぶっていた孤立無業の歳月から2年余り。工事車輌と車の流れと歩行者自転車と脇道と他の警備員とにコンマ何秒で一気に目配り・合図しなければならない瞬間は常にスリリングです。その一方で私には、上の詩に見られるような、山登りなどから想を得た、息の長い探究の持続もあります。長短両様の時間の尺度を心に宿しながら、その成果としての社会復帰と精神復興とを共に推進していくこと。それは来年に向けて自身とブログの大きな課題となるでしょう。