四時歩武和讃(しじほぶわさん)

〜立ち直りから精神復興へ。一警備員の手記と詩篇~

≪リフレッシュ②≫

私には、大学時代からつながる唯一の友人がいます。ドライブ・スキー・登山を好む雪国育ちのアウトドア派です。

彼とのドライブで海や山へ出かけることが、毎年恒例となっており、かれこれ四半世紀間、私の引きこもり・就業中・失業中にかかわらず年に2~3回、最低でも1回は続けられてきました。

いわゆる心の悩みに拘泥することのない、さっぱりとした性格の持ち主です。私とて、同世代の引きこもりや高学歴プアと同じように内心の苦しみを吐露できる相手を求めてもがいていたわけですが、結果的にはこの友人だけが長続きし、いっとき意気投合したかに思えた話し相手はすべて消えました。

私自身、心の問題につきまとう視野の狭さに気づいたことも大きいようです。もう十何年も前ですが、ある自助グループで「読書好き」の人たちからいわゆる自己啓発本・生き方指南本を多数薦められ、そういうものは一切読んだことがなかったので図書館で60冊ほど一気読みして二日で卒業しました。(ほどなく自助会も抜けました。)

すでに現代文学などで晦渋朦朧とした感情移入の果てしない冗漫さに辟易していたのとは、また別の、どうしようもない粗製濫造、使い回しの陳腐感。


…そういう世界とは全く無縁だったのが友人。このGWも彼とドライブ兼登山に出かける予定です。



『三一致の偈』

刻露清秀

ひこばえはやがて夕映えと出逢い、
瞳を凝らして初めての夜を迎える。
満天の星座盤はゆったりとめぐり、
伏線を回収していくかのよう。


チェンバロもチョモランマも
三通りの呼び名で流通している。
最高の喜びは、たたえるという言葉
その三種の字義に通じるように。


〈了〉