四時歩武和讃(しじほぶわさん)

〜立ち直りから精神復興へ。一警備員の手記と詩篇~

≪現場雑感②≫

恐るべき猛暑のさなか、"灼けつくような造営" の現場を転々としています。(→《見越入道⑩》)


今週は、浅草の新築ホテル周辺の外構工事、つまり道路舗装や側溝・歩道の作り替えをみっちりとやりました。こういう土木の現場は、路面を剥いで行うため必ず誰か前面に立って通行人や一般車を安全に誘導しなければならず、熱中症に気をつける建前などまるで通用しない、炎天下にさらされ続けて当たり前のキツい仕事です。まして道幅の狭い通りでは、工事車両と一般車のすれ違いや重機とダンプの入れ替えにも一苦労。警備員の中には工事の段取りをほとんど理解できない人もいるため、結局私やベテランが汗だくになって対応するはめになります。


さてそんな危険レベルの猛暑でも、勤務日数を減らせば社会保険の保険料の負担がつらくなるため、無理して仕事に出まくっている人も少なくありません。確かに、4月から梅雨明けまでは警備の閑散期で仕事にあぶれる人がかなりいたときいています。


なので私は逆に、現場があければ土日は休みにしてもらいます。今日も会社からの仕事の話は断ってあり、代わりに寿命のきたスマホを買い替えてきたところです。


つましい一人暮らしのため、余裕こいてるようにみえるかも知れませんが、あくまでも社会的出直しの途上だから潰れないよう自己管理したいのです。凍ったペットボトルやヒヤロンを頭や首筋にあてがってまで都心の炎天下で正気を保ち続けねばならない交通誘導の9時間を、自身の思索と勉強にあてられるものならもちろんそうしたい。でも逆に、以前引きこもりや無業者だったころ、涼しい自室に悶々と居て西日とともに聞こえてきたパタパタパタパタという乾いた工事の音が、いまは合材ダンプの匂いまでお馴染みの舗装の最終局面だと知っているように、汗まみれ油汚れの作業員ともども近隣や通行人に頭を下げながら無事一日の作業を全うする毎日は、人生の再起動にふさわしく、いろいろと考えさせられる社会勉強でもあるのです。