四時歩武和讃(しじほぶわさん)

〜立ち直りから精神復興へ。一警備員の手記と詩篇~

≪山懐に季語を求めて≫

現場の休工期間を利用して、群馬の下仁田へ日帰り登山に行ってきました。


例年、GW期間には友人の運転で景勝地や山に出かけることも多い私。でも今年は自分の常駐現場が350人規模の3密状態でかつ毎日電車通勤だったため、友人への影響を考えて訪問自体をとりやめ、マスク着用の単独登山に切り替えた次第です。


下仁田へは高崎から上信電鉄で行きます。が、沿線観光の目玉、富岡製糸場は閉鎖。終点下仁田駅も、絶好の登山日和にもかかわらずハイカー姿は私くらいなものでした。



以前の記事でも触れましたが、私の登山歴は大学在学中からなので優に四半世紀は超えています。ただ進路に躓いて行き詰まり、無業失業などで遠出ができず低調だった時期も少なくないため、2016年に警備の仕事で立ち直って以降の登山には、これまでとは面目を一新した独特のアプローチと思い入れがありました。


たとえば、前回の登山。それは半年前の初冬、韓国の大邱から登ったパルゴン山( 팔공산 비로봉 1193m~동봉 1167m、갓바위 853m)でした。その後帰国してすぐ派遣された現場こそ今のショッピングモール建設工事なのです。一方大邱のほうは周知の通り2月以降、コロナ集団感染で多数の犠牲者を出し、全市挙げての必死の防疫で4月には危機を封じ込めるという凄まじい試練を経験したのでした。


一方、今回の登山は未だ首都圏の自粛要請が解けない中での出発でした。四ッ又山〜鹿岳(かなたけ・1015m)という、知る人ぞ知る西上州の代表的な岩山コースです。


折しも新緑の季節を迎え、鮮やかな朱色のヤマツツジや、薄紫のミツバツツジの花が行く手に現れては彩りを添えてくれます。見晴らしはいいが平凡な四ッ又山を過ぎると歩き応えのある尾根道となり、やがて頂上の岩場が迫るにつれ、ハシゴを直登したり鎖を頼りに側面から回り込んだりとスリルがでてきます。とはいえさほど怖くはないマイルドなルートですが、中には鎖場の途中で足が止まってしまい、後続を無駄に待たせてしまう人も…。2つの突き出た岩峰からは妙義山荒船山浅間山の個性的な山容が一望できました。ちなみに私にとって、妙義山は稜線伝いの熟達者コースで、荒船山は厳冬期の深雪登山で、浅間山は(登山禁止の)激臭にむせぶ火口壁歩きで、それぞれ思い出深い単独行となっています。

    ☆

実を言えば、こんな息抜きが欲しかったのは、警備の仕事からのリフレッシュのためもありますが、それ以上に、コロナ絡みの罵詈雑言で埋め尽くされた現在の言論媒体から、きれいさっぱり離れ去りたかったため、というのが本音です。


通勤途中のため、続きは次回にしますが、正直言って、もうネット上に自分の居場所はないな、ダメかな、と発信さえも諦めかけているところです。