四時歩武和讃(しじほぶわさん)

〜立ち直りから精神復興へ。一警備員の手記と詩篇~

≪人員20名。職長の重圧と充溢(前半)≫

暖かな日射しに包まれる日が増えました。
医大病院敷地内の至る所で、また新たな花が人知れず咲き誇ります。


先日は、病院前のバスロータリー近くで朝一のラフタークレーンとPC運搬トレーラーを誘導するため1人で待っていたところ、すぐそばでカルミアの花のつぼみが密集しているのを見つけました。アポロチョコそっくりの造形もさることながら、五角形に開いた薄ピンクの花の緻密な仕掛けとデザインがとりわけ大好きな花でした。


私は交通誘導警備の職長です。なので毎日坂の下から構台のてっぺんまで必ず医大敷地内各館の動線を歩いて回ります。現場入りしてまだわずか2ヶ月ですが、すでに梅や桜や乙女椿、ハナミズキドウダンツツジの花期を見守りました。また、巡回中、仮囲いの内側で躯体工事の現場を移動する際には、職人たちと同じく足場を使って登ります。するとはからずも趣味の登山と似たような高度感を味わえるのです。構台からはるか下方に見下ろす鉄骨とコンクリートの地平は、この工事がまだほんの1合目に過ぎないことを実感させます。これが来年には12階まで積み上がるのですから…。

    ☆

さて、連休前まで、この現場は最大20人もの交通誘導員を出していました。常時90人台しか稼働していないわが警備会社では出せる限界を超え、本当は21人必要だったのに何一つできない無能な者をかき集めて20人にされるなど、悲惨な配置の日がたびたびありました。


このうち『新病院棟』本体の工事に関わるのは5人ほどです。大学病院正面のバスロータリーと来院者の動線を横切って大型の工事車両が長い坂道へ出入りするため、常時2~3人で交信し連携しながら安全に誘導しているのです。


記事の冒頭で朝一私が立っていた場所がまさにそこです。
最近は鉄骨建方作業のため、極太の柱や梁をドンと載せたトレーラーや大型トラックが容赦なくバス通りへ上ってきます。加えて生コン打設の日はミキサー車がひっきりなしに夕方まで来続けます。生コンを打設箇所へ送るポンプ車が構台上に3台居並ぶ日もあるといえば、工事の規模が想像つくかもしれません。

     (続きはあとで)