四時歩武和讃(しじほぶわさん)

〜立ち直りから精神復興へ。一警備員の手記と詩篇~

2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

≪見越入道 ⑰≫

オラトリオ見越入道 刻露清秀 〈5〉(続き)沿岸には多くの奢侈が名を連ね 虫歯の村は朽ちてなお野に晒される、 一切を見渡す氾濫原から 養殖の保護区を越えて外洋へ出れば、 舳先に立つ競い肌は 渦としぶきで目も当てられず、 無辜の寓りは石群に似て 甲板の…

≪見越入道 ⑯≫

オラトリオ見越入道 刻露清秀 〈5〉時つ国を望みつつ 日択りの海を ゆたにたゆたい 販路を拓き、水運を増す かの波乗り船、弥栄なれ と。 異国にあっても十組問屋は あらゆる時代の箱書きが 渡海造りと組積造下に 列をなし、色をなして詰め寄る所。 霧は野…

≪見越入道 ⑮≫

オラトリオ見越入道 刻露清秀 〈4〉『第九』も『受難曲』も響かない 数万年裏の世界氷河に フラットではなく皆前趾足で 処女地への心技を刻む巡礼の体、 雪上確保、懸垂下降、 選び取られたそのルート図は もとより定本も完本もなく 抄紙と瀑布に満ちた前表…