2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧
オラトリオ見越入道 刻露清秀 〈5〉(続き)沿岸には多くの奢侈が名を連ね 虫歯の村は朽ちてなお野に晒される、 一切を見渡す氾濫原から 養殖の保護区を越えて外洋へ出れば、 舳先に立つ競い肌は 渦としぶきで目も当てられず、 無辜の寓りは石群に似て 甲板の…
オラトリオ見越入道 刻露清秀 〈5〉時つ国を望みつつ 日択りの海を ゆたにたゆたい 販路を拓き、水運を増す かの波乗り船、弥栄なれ と。 異国にあっても十組問屋は あらゆる時代の箱書きが 渡海造りと組積造下に 列をなし、色をなして詰め寄る所。 霧は野…
オラトリオ見越入道 刻露清秀 〈4〉『第九』も『受難曲』も響かない 数万年裏の世界氷河に フラットではなく皆前趾足で 処女地への心技を刻む巡礼の体、 雪上確保、懸垂下降、 選び取られたそのルート図は もとより定本も完本もなく 抄紙と瀑布に満ちた前表…