2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧
オラトリオ見越入道 刻露清秀 〈3〉(続き)粘土に尖筆、砂手習から 天文密奏会議録まで、 巧暦募集の求人に始まり 智慧の館に至る王道、 数理数略の労をいとわず 時に遺題を承継しながら すべての学侶は施主のみもとへ 無数のタイルが蒼穹を織り成すように。…
オラトリオ見越入道 刻露清秀 〈3〉(続き)灼けつくような造営のさなかにも 賦役者は思いめぐらす、 翼の陰に宿る布陣を。 昼は熱沙のかなたに揺曳し 夜は焚火のまわりに隠映し 尊厳の遺鉱を ひ押しして、 そこでは被疑者被験者の名も 無からしめることはな…
オラトリオ見越入道 刻露清秀 〈3〉(続き)雨季と乾季が自生を促し 砂地に裸足の実生が溢れ 影と風とが混ざりあう時 蜜蜂たちのくるぶしは癒えた、 受粉とはことづけることだから。 生命の束を崖に残して 遺恨と封鎖の対岸へ渡り 身を低くして作戦を待つ 一…
オラトリオ見越入道 刻露清秀 〈3〉時に義人は知る由もなく 天上に諮られ、賭けられてきた。 友も助言者も誘惑者も アイスフォールに隔てられ、 離反と懲らしめ、 涵養域にもいつか擦痕が顕れるように。 人は喘登を自負する限り 激しく飢え渇いているように…