四時歩武和讃(しじほぶわさん)

〜立ち直りから精神復興へ。一警備員の手記と詩篇~

2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

≪見越入道 ⑪≫

オラトリオ見越入道 刻露清秀 〈3〉(続き)粘土に尖筆、砂手習から 天文密奏会議録まで、 巧暦募集の求人に始まり 智慧の館に至る王道、 数理数略の労をいとわず 時に遺題を承継しながら すべての学侶は施主のみもとへ 無数のタイルが蒼穹を織り成すように。…

≪見越入道 ⑩≫

オラトリオ見越入道 刻露清秀 〈3〉(続き)灼けつくような造営のさなかにも 賦役者は思いめぐらす、 翼の陰に宿る布陣を。 昼は熱沙のかなたに揺曳し 夜は焚火のまわりに隠映し 尊厳の遺鉱を ひ押しして、 そこでは被疑者被験者の名も 無からしめることはな…

≪見越入道 ⑨≫

オラトリオ見越入道 刻露清秀 〈3〉(続き)雨季と乾季が自生を促し 砂地に裸足の実生が溢れ 影と風とが混ざりあう時 蜜蜂たちのくるぶしは癒えた、 受粉とはことづけることだから。 生命の束を崖に残して 遺恨と封鎖の対岸へ渡り 身を低くして作戦を待つ 一…

≪見越入道 ⑧≫

オラトリオ見越入道 刻露清秀 〈3〉時に義人は知る由もなく 天上に諮られ、賭けられてきた。 友も助言者も誘惑者も アイスフォールに隔てられ、 離反と懲らしめ、 涵養域にもいつか擦痕が顕れるように。 人は喘登を自負する限り 激しく飢え渇いているように…