四時歩武和讃(しじほぶわさん)

〜立ち直りから精神復興へ。一警備員の手記と詩篇~

≪臨機応変考≫

私にとって2ヶ所めの常駐現場、都内14階建てマンション大規模修繕工事の足場が完成しました。(所要2ヶ月弱)


すでにシーリング工、塗装工、タイル工などが連日建物のベランダや壁面に沿って作業を進めています。鳶さんたちと私の出番はひとまず終わり、来月下旬、足場ばらしを始めるさい、もし私が呼ばれればまた彼らと再会することになります。


思えば2年半前、警備の仕事に就いて初めて入った現場が、やはり足場架設中の駅前マンションでした。うるさ型の警備の隊長に逐一ガミガミ言われながら、直前に3週間で辞めた介護職の悪夢(お局様のヒステリー)が頭にちらついて不安でなりませんでした。鳶の仕事じたい間近で見るのも初めてでしたし、資材の束を吊り下ろすユニックの動きも怖かった…。


それが今ではそのベテラン隊長と同じ資格を有し、より大規模なマンションの修繕工事で監督・他職と打ち合わせに臨む毎日…。



40代も終盤になってやっとどん詰まりの状況から脱した私。結果オーライでいいと思うんです。どうせ世間の見る目や低評価は変わらないし、心血を注いだ知的探究の意義に至ってはなおさら歯牙にも掛けられまい…。ただ、自分と同じように『失われた何十年』もの遅れを恥じたり悔いたりしながら就労に向かって歩んでいる人にはいまも万感の思いを禁じ得ません。どうか失敗してもすぐ頭を切り替え、柔軟に別解を探し当ててほしい。そう強く願う者です。