四時歩武和讃(しじほぶわさん)

〜立ち直りから精神復興へ。一警備員の手記と詩篇~

≪恐竜、労災、知覚変動(中編)≫

日曜日、保安警備の日勤者の思わぬ事故。朝、新しい詰所へ初めてたどり着いた直後に、ノーヘルのまま階下へ転げ落ちたようです。


月曜朝一番に現場で血のクレーターを見た私も、ああヤバイわ、と激しく動揺。ひとまず書き置きを残して県道側車両誘導へ急ぎました。朝礼後は当然ながら現場の所長や監督、警備会社の営業部長ら管制の者から聴取と質問責め。さらに夕方には大雨の中、現場から離れた工事事務所にて、統括所長をはじめ、うちの警備の管理職2名と隊長の自分が揃って、ゼネコンの本部の人を前に事故報告とお詫びと対策会議を行うに至りました。


職人や作業員が怪我や体調不良により救急車で運ばれるケースは時たまあり、つい先日も1人持病で倒れて私が緊急車両を誘導したばかりです。しかし巡回のみの警備員が無駄に大怪我をしたのでは面目がたちません。幸いその後同隊員は一般病棟に移ってかなり順調に回復しているようですが、最初に脳挫傷の診断を見た時には私も極度の不安で動悸が止まりませんでした。

    ☆

そして次の日曜日、彼の代わりに日勤の巡回警備に入ったのが他ならぬ私でした。現場は全休。ただし電気工事業者のみ許可を得て作業。そのため館内停電で扇風機もつかず自販機も使えません。そこで、同じ敷地内にありながら普段入ることができない旧郵便局解体現場に、巡回のため足を踏み入れてみました。


当ショッピングタウン建設現場は、交通誘導警備員にとって、多面的な要素に満ち溢れています。本体の建設・外装・内装工事→《建築》、道路整備や配管・側溝・植栽・駐車場舗装などの外構工事→《土木》、そして敷地内に残った旧郵便局の取り壊し→《解体》。さらには、朝夕など作業員や現場関係者の通勤車両をゲートでさばいて屋上駐車場へ出入りさせる《駐車場警備》的要素も含まれます。


加えて、侵入者防止、いわば泥棒よけのために、夜間・休日に《保安警備》をつけているのです。私は、仮囲いの内側にあって、いつも場内から遠巻きに見ていた解体重機群のダイナミックな動きを、目と鼻の先で仰ぎ見てみたい、そんな思いに駆られました。過去にも都内の現場で、もっとはるかに大がかりな解体工事に立ち会ったことはありますが、当現場は郵便局1棟のみを、限られた期間で効率よくぶっ壊して土で埋め戻すため、5台の重機の3密ぶりが半端でないのです。

  (続く)