四時歩武和讃(しじほぶわさん)

〜立ち直りから精神復興へ。一警備員の手記と詩篇~

≪こころざしとよみがえり≫

この5ヶ月半、私はスクラップ&ビルドの最たる大規模工事現場に身を置いていました。


まずショッピングモール本体と立体駐車場の躯体工事。次いで隣接する新郵便局配送棟の新築工事。


さらに郵便局仮設営業のために古い公園を潰して建てたプレハブ棟と、周辺道路の拡幅・舗装・電線工事。


一方、交差点一つ離れた他社現場では、1年前まで営業していた別の大手スーパーの建物全体の解体工事が春から本格化。巨大重機とスクラップ運搬大型車両が連日唸りをあげてフル回転し、GW明けには早くも土台近くまで撤去が進みました。


対照的に、こちらは建物の内装工事も仕上げが近づく中、周辺各所の埋設配管やブロック工事も捗り、車両通行用に何百枚と敷き詰められていた鉄板の道も、トレーラーで奥から順に引き剥がしては搬出しています。


郵便局機能の移転により、近日中には元の郵便局建物内部の解体工事も開始。その跡地を夏までにはバスロータリーにするという段取りです。それに伴い交差点も信号機も、T字路から十字路に切り替えなくてはなりません。


最終的にはショッピングモール前面が郊外型の見晴らしのいい駐車場となり、当然ながらすべての工事用仮囲いやプレハブ事務所や詰所や武骨な重機類はすっかり引き払い、あとは店舗オープンの時を待つだけとなります。


依然としてコロナ禍の不確定要素は拭えませんが、私にとってこの現場は、何よりもこうした集大成的なスケール、いわば総合性という面でずば抜けて魅力的でした。


警備の仕事に入って4年4ヶ月間で、私は長短5つの常駐現場を無事務め上げています。特に最初の『ドーミーイン』は、交通誘導2級資格者となっていきなり都区内の主要道路沿いを任された重責もあり、自身の恥ずかしい引きこもりや社会的ブランクを完全に過去のものにする画期的なよみがえりの場となりました。


そして当時のブログでも書いた、現場の工程表をオーケストラ曲の総譜になぞらえる着想が、さらにリアリティをもって体感できたのが、現在のショッピングモール建設プロジェクトだというわけです。