四時歩武和讃(しじほぶわさん)

〜立ち直りから精神復興へ。一警備員の手記と詩篇~

≪出遅れた歳月、生き急ぐ日々⑥≫

今年は正月2日から仕事に入っています。


郊外ショッピングモール建設現場と周辺道路区画の見回りです。休工中の年末年始も、重機や資材の盗難、事務所荒らしを防ぐため、広大な敷地をくまなく歩いて、昼夜交代で巡回警備していました。


正月明けからは、現場も日曜以外すべて稼働です。週5日勤務を基調としている私も、常駐者の一人として現場の日程に合わせ、時には早出もするはめになりました。


当ブログを始めた2年前にも、私は都心部のビジネスホテル建設現場で警備の隊長として常駐していました(≪見越入道①〜⑲≫参照)。しかしこの2年あまりの間に、思えば仕事よりもむしろプライベートな面で、顕著な節目や進展がありました。経済的自立による可動域の拡がりと、身内との軋轢の解消がそれです。


前者の例が、3度の韓国一人旅。それとクレジットカードの利用です(今やゴールドカードになりました)。他方後者の例が、母の死と、それを期に見違えるように好転した父との関係でした。


孤立無業の生活困窮者としての就労“準備”支援から5年足らずでここまで社会的に持ち直したのです。言うまでもなく、就労支援員から現在の警備会社まで、面倒をみてくれた方々の力添えが不可欠でした。でもそれに加えて、私自身の張りつめた再生意欲や、同時代言説に抗する精神性回復へのひたむきな志こそが、立ち遅れた歳月を取り返そうと生き急ぐ、決定的な原動力だったと思っています。


いま、ともすれば同時代人は日々話題性と享楽主義のカクテルに酔い痴れて何かひと目でウケた瞬間ばかり取り上げては爆竹のように騒いでいます。かたやジャーナリズムや知識人は国内外とも偏狭な理念に凝り固まって党派的非難に明け暮れ、何の創意もない言葉の殲滅戦に血道をあげているばかりです。


どちらも時代の前面でのさばらせておけばいい。
勝ち誇りたければ死ぬまで内輪で勝ち誇ってろ。


私自身は、もう少し体勢が整うまでおとなしく警備の仕事に専念したいと思います。長い社会的ブランクの影響と、熟考推敲型の弊害で、詩文をまとめるのにも人一倍時間がかかってしまうからです。