四時歩武和讃(しじほぶわさん)

〜立ち直りから精神復興へ。一警備員の手記と詩篇~

≪『以下16名』を担う気苦労!≫

SNSの更新と交通誘導の交信には1つよく似た点があります。それは、発信したそばから状況が一変し、あわてて追加連絡や趣旨の変更を余儀なくされることが多い点です。


社会的ブランクの長かった私は、現在までこのブログしか扱っていません。時評家や目立ちたがり屋ではないため、ツイッターフェイスブックの即応性は私にはいらないと感じていたからです。


ところが、前回のブログで、私はいま土木工事現場をフリーで回って交通誘導している旨述べました。が、実はその頃から、(前月初めて新規で入った)大規模建築現場に毎日通う状況へと事態が急変していたのでした。


そこは神奈川県内の中核となる医大と大学病院。構内に順次新病棟を新築し、最終的には現在の本館を解体して全面リニューアルするという、6年がかりの壮大なプロジェクトでした。もちろん病院も医大も通常営業で、バスロータリーはひっきりなしにバスが往来、救急車は坂道を出入りし、工事車両と一般車が同じ通りですれ違う、至る所に誘導員の配置が必要な現場です。


うちの警備会社でも最大の重点現場で、本社所属の中堅・ベテランが常駐し、工事箇所の拡大につれて人員も増強。最近は12〜14人体制で交通誘導にあたっていました。


ただ私の住まいからは地理的に遠く不利で、始発に乗ると4回乗り継いだ末、さらにバスという不便さのため敬遠していました。しかし埼玉の所属隊員が既に主力で定着していたため、やむなく私も助っ人として臨時登板したのです。


が、全体を率いる60代の隊長も心身共にお疲れだったようで、先日病院で診てもらうことになりました。それがなんとサブリーダー格2名の休みと重なってしまったのでした。


その日、まだ現場の誘導上の決めごとに不慣れだった私は、片側交互通行で組んだ主力のひとりから畳み掛けるようにダメ出しされてすっかり嫌な気分になり、もうこの現場は降りるとまで言いました。ところがその夜本社から電話があり、隊長不在の間、代理で現場をまとめ、打ち合わせにも出て予定人数を報告してほしい、と指示されたのでした。


結局翌朝7時前から、ゲートの解錠やらKY(危険予知活動)用紙の記入やら新規入場者への対応やら弁当の注文やら、隊長が慌ただしく行う一連の作業や雑用をテンパった状態でこなすはめになります。


幸い現場慣れしたベテランが参謀役となっていつも通り各ゲートに指示を飛ばしてくれたため混乱は免れました。しかしその後も打ち合わせや主な業者への予定伺いなど、どこにどの業者が入っているのか自分で駆けずり回って探す必要に迫られ、気の休まる暇がありませんでした。そして痛感したのは、常連の主力隊員といえども、交渉事や事務的な作業などは、いかに隊長に任せっきりでちっともわかってないかということでした。


結局、木〜土曜の3日間、名目上の隊長として代理を務めきりました。総勢15·16·16名。幸い、週明けは隊長が復帰しますが、工事全体の機構や段取りが徐々に頭に入ってきた私も、もう当面は抜けられないとみられます。


もっとも、昨年のイオンタウンふじみ野新築の時も、後から現場に加わって、2ヶ月後には急遽隊長になりました。未だに社会復帰の思いが根底にある私にとって、今度の現場、病院裏に聳え立つ3本のタワークレーンや清水の舞台のような高度感のある構台、坂道で大型車両の行き交うダイナミズムは、確かに探求心をそそる対象ではあります。長期に通うのは無理にせよ、ここでの工程の構築感は密かに目に焼き付けておきたいと思いました。



もっと俗な現場エピソードを交えて書いてもいいのですが、明日も始発出発なのでここまでにします。